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体験者の声

INTERVIEW
一期一影 インタビューVol.2 服部真湖さん

Vol.2

服部 真湖 さん

女優やタレントとして活躍し、現在は日本舞踊の名取として
伝統芸能を後進に伝える服部真湖さん。

生前遺影の撮影プロジェクトに参加した経緯から
想いまでインタビュー。

今回の「一期一影プロジェクト」に参加した
経緯を教えてください。

実は、このインタビューのVol.1にも出ていらっしゃる三木(眞弘)さんのご紹介なんです。はじめにお話を聞いたときは、正直なにがなんだかわからないまま、「いいよー」なんて軽く返事をしてしまって(笑)。

その後に、プロジェクトメンバーの方から詳細を伺いました。お話を聞いたときは、新しい感覚でした。というのも、お葬式では当たり前のように飾ってある遺影を気に留めることはなかったし、年齢的にもまだ考えたことはありませんでした。でも、準備できるならばしておくべきものだし、自分ではきっと気が付かなかった。そういう気づきを与える意味でも、すごく新鮮で前向きなプロジェクトだと感じました。

事前にヒアリングシートを書いていただきましたが、
書いてみてどうでしたか?

どういうふうに書き出せばいいのか、正直とまどいました。一日一日を日記のように振り返ったほうがいいのか、記憶に残る部分だけをフォーカスしたほうがいいのか……。私は、自分のことをいちいち説明して人に知ってもらおうなんて思ったこともないですし、好きじゃない。自分は自分、どちらかといえば語らずに終わりたい人間。実際は残すようなものがないだけなんですけどね(笑)。
でも、いろいろと考えているうちに、あんなことがあったなー、こんな人間だったなーなんて思い出し、書くべきことが見えてきました。ヒアリングシートに向き合ってみて、改めて自分の性格や好きなもの嫌いなものが再認識できました。

人生を振り返る

一期一影 インタビューVol.2 服部真湖さん 人生を振り返る

今回は、服部さんからのご提案を受けて、2枚の写真を
1枚の額に収める新しいカタチの遺影を実現できました。

ありがとうございます(笑)。でも、私はどんなカタチでもいいと思うんです。ご家族がつくる“サヨナラのカタチ”より、本人がどうしたかったというのを尊重してあげるべきかなと。長い人生を写真2枚に収めることなんて、到底無理だけれども、私の中には大きく分けて2つの面がある。日本人としての和の一面と、世界へ飛び出したインターナショナルな一面。この2つの面を残したいと思ったんです。

2枚をひとつの額に収めるカタチを思いついたのは、私の友人で早くに亡くなった同級生がいて、ご家族の意向で密葬が執り行われたんです。彼と仲良くしていた私が友人代表として出席したんですが、宗教関係なく、メモリアルホールのような場所で、彼の好きだったギターやテンガロンハット、カウボーイブーツ、そして私たちとの思い出も詰まったアルバムを飾られていました。1枚の遺影写真が飾られているよりも、彼のいろいろな顔を見ることで思い出が蘇り、すごくよかったんです。

そして、着物姿とドレス姿、2枚のお写真を撮影しました。

今回着た黒の着物は、母のもの。なんとなく母を想い、朝タンスの中から一番手前にある着物を引っ張ってきました(笑)。すると、彼女が好きだった縞柄の着物で、私にとっても母が着ていた記憶にある1枚でした。母も多くを語らない人ですが、一枚一枚の着物には母なりの思い入れが必ずあるはず。私の代までは、その着物たちをきちんと守ろうと思っています。それは誰かのためとかではなく、自分のため。それをいい加減にしてしまったら、きっと心残りになる。着物に対しては、そんな母への想いが込められています。

撮影に向けて

一期一影 インタビューVol.2 服部真湖さん 撮影に向けて

ドレス姿もとても印象的でした。

私が19歳か20歳の頃に、いまでもお付き合いのあるスタイリストさんが、司会の仕事用に私のために作ってくださった世界に一着のドレスなんです。既製品ではサイズが合わなかったり、ブランドのものでは高額になってしまう。当時、スタイリストさんにそんなことを相談すると、それならば「私が作ってあげる」と、ささっと作ってくれたんです(笑)。オーガンジーやレースなどの素材使い、腕を出すデザインなど、私の好みが反映されています。明るい色を着ることが多い私には珍しく、おとなしい淡いベージュというのもポイント(笑)。

撮影前日や、実際に撮影している時間はどうでしたか?

撮影前日は……ごめん、特になにも考えてなかったかな(笑)。長野まで雪山に登ってたので(※撮影は3月に実施)、それどころじゃなかった(笑)。職業柄、毎日同じところへ出勤するわけではないし、カメラの前に立つことは慣れているので、ヘンな意味での緊張はなく、普段の延長の感覚でした。

撮影中は楽しかったですね。私のキャリアの中で、ちゃんとしたスタジオで女性のフォトグラファーと向き合うのは初めての経験だったんです。新鮮でしたし、撮影中から仕上がりが楽しみになりました。

しかも着物の撮影では、本物の桜の枝を小道具で使っていただきました。私は写真だけパッと撮って、後からてっきり合成すると思っていたので、本物の桜の枝を見てほっこりしました。アナログの時代からデジタルの時代をまたいで生きているとはいえ、やっぱりこういう手作り感のあるものが好きなんです。

遺影を使う

一期一影 インタビューVol.2 服部真湖さん 遺影を使う

実際に現物の遺影を受け取ってみていかがでしたか?

自然体の写真に仕上がり、私のひととなりが出ているようでよかったです。2枚の写真とはいえ、圧迫感もなく、額装のマットの縁に薄いピンクが入っているのも、おしゃれだなーって。

今後、遺影がどのように使われ、
どのように残ってほしいと思いますか?

お家に飾っておきたいですね。娘に渡してもいいかな(笑)。写真は、「真湖さんてこんな感じの人だったよね」って伝わるものに仕上がっているので、家族が不安になったり寂しくなったりしたら、この写真を見て元気になってほしいですね。そして職業柄、夢を売る仕事をしてきたので、この遺影写真を通して、いまの服部真湖のイメージをみなさんに覚えておいてほしいですね。

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